11.

古い友人からよく連絡をもらった1ヶ月だった。

自分から人に声をかけることがほとんど無いから、思い出してくれる人がいることをありがたいと思う。

できるだけ本当のことを話すように心がけた。昔からはりぼてで着飾ってばかりだったから、すこしでも実際の自分で触れあいたかった。みんな見透かしていたのかもしれないけど。

 

すこしずつ話をして、すこしずつ記憶を辿った。思い出せること思い出せないことがあって、だいたい悲しくて寂しかった。悔しくて、それがバレないように笑ってばかりいた。

「さなぎみたいなもんだよね。中は暖かくて心地よくていつまでもそこに居たくなるけど、いずれ出て行かないといけないことをみんな知ってる」

腹を食い破られたさなぎは、土に還るのを待つだけなんだろう。

 

自分の中のどうしようもない空白を扱いきれなくて、困っている。

好きな人たちと居るのは楽しい。ずっとそうしていたいと思う。でも頭の真ん中に「最良の解決方法」としての死が居座り続けている。

やさしくしてもらうとうれしい。とても温かい気持ちになる。でも、芯の方に温度が伝わらない。

飛び降りた日のことを少しだけ鮮明に思い出した。落ちたあと、痛くて寒くて悲しかった。死にたくないとは思わなかったけど、一人きりで終わるのがたまらなく怖かった。

 

毎日嫌なことが積み重なっていく。いいことは押し潰されて見えなくなるのに、なんで悪いことだけ鮮やかに残るのだろう。

好意を貪って、人を踏みにじってまで、生きていたくない。