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5.

恋愛についてはよく分からないが、死にたいも生きたいも一番強く感じたのは、人を抱きしめたときだった。

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旅路の途中、知らない街で一人ぼんやりしていると、唐突に自意識から「お前には何も無いのだ」と現実を突きつけられた。
自分が何も持っていないことを恥ずかしがったり惨めに思ったりする小さく弱いこころ、それが私に残されたすべてだった。
連休の初日、ターミナル駅に溢れる人々は目的があるからそこに居て、私はぼんやり存在しているだけ。
浮遊霊みたいだと思った。

なんにもないような気がするから怖くて穴を埋めようとしていたけれど、本当になんにもなかったのだ。
あさましく醜悪な存在になっていく自身を許容できない。人を求める気持ちはひどく濁っている。


金属製の平面的な三角形に、どろどろした黒い液体を注ぐ夢を見た。三角形はとても小さいのに、いくら注いでも満たされない。途方に暮れてしまった。
目が覚めて、これ以上なにに触れても孤独を深めてしまうだけだと怖くなって、旅を終えることに決めた。

もらったもの握りしめて、泣いてばかりいる。
頑張った人には喜びが帰ってくる、私は頑張れなかった。
もう駄目だと思う。嘘っぱちの人生に、それなりの報いが訪れるだけ。

今日は私の命日だった。