4.

北へ北へと逃げたくなるのは、私が南に住んでいるからだろうか。

暖かな空気は甘やかしながらまとわりついてくるから不快で、肌を擦るような冷気は厳しいからあこがれていた。

 

今日からあまり宛のない旅に出る。会いたい人には会う。それからのことは考えていない。

やさしい、やさしい人。傷つけないといい。気を抜くとあっという間に甘えに飲まれてしまう。

美化してはいけない。人を人として見なければいけない。私もあなたも、ここもどこも、生きていて現実なのだ。

 

たぶん私は一人きりになる必要があるのだと思う。

どうしようもない孤独の中でしか、本心から人のことを考えられない。

 

期待をやめたような顔をしているのにもそれなりの理由や傷があったはずなのに。

どうして怪我をしたのかは忘れてしまって、跡だけ残っている。その跡を指でなぞると、なんとなくおそろしい気持ちだけ蘇る。

なんで死にたかったか、あなたは覚えてる?私はあんまり。

 

どこか空々しい森を抜けた先が、海の見える丘ならよかった。