3.

ほんとうは、もっと上手に泳げるんだよ。

 

目を合わせると、底の浅さを見透かされるようで恐ろしかった。

人と向き合いながら発する言葉に真実なんてひとつもなくて、みっともなく様子を伺いながら、ばれないようにできるだけ美しい言葉を選んだ。

心をこめて嘘を話せば本当みたいに聞こえるようで、やさしい人たちを欺きながら、自分にあたたかな感情を向けてもらえるよう必死だった。

 

おはじきに光を透かして、清潔になろうとした。

懐かしいね。すこし悲しいね。

 

彼岸が見えていればまだよかったのかもしれない。

どこまで泳ぐ?私は疲れてしまったよ。

 

泣きながら電話してきたあの人たちのこと、話したこと。

私の中にあなたの苦しみを澱ませておくから、ぜんぶ忘れてしまえよ。

私なんていなくても、みんな大丈夫だったのにね。

勝手に力になれたような、あなたの何かになれたような気になって、ごめんね。気持ちが悪いね。

 

私に何かを見つけてほしかった。

なんにも、なんにもないね。