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10.

やさしいほど口をつぐむしかなくなることを私たちは知っていて、弱虫ばかりが集まって息をするように言葉を紡ぐ。 傷つかないためにはよわくよわく触れるしかなかった。それをやさしさと呼ばれて胸が痛かった。 あなたに何をしてあげられるだろうか。 私の言…

9.

繰り返すだけ あまり覚えていない 感じる心が不足している 春は得意ではない 悲しいとき、辛いとき、感情がすべてを覆い隠そうとする。 他人にしがみつくことを自分の中で正当化してしまう。こんなに辛いんだからって。 それに抗うのが理性の働きだと思って…

8.

人がこちらを見て話してくるときは、曖昧な笑みを浮かべ目では無く頬の辺りを見るようにしていた。 目を見て話すと底を見透かされそうで、顔を背けても逃げたと思われそうで。 小さい自分を隠し、肥えに肥えた虚栄ばかりの自尊心を守ることに必死だった。意…

7.

決定的に足りないのは想像力だ。血を流さないとひとつも分からない、痛みもいずれ忘れてしまう。 誰かと話しながら笑いながら、死にたいって言葉ばかりが頭の中を廻る。 昔のように真に迫った希死念慮はなく、言葉だけが先にたつ。なにもないことを認めたく…

6.

人のように振舞えないことを恥ずかしいと思っている。 私は私を必要ないと感じることが主訴になりうるのかもしれない。誰かにとってではなく、私自身のために、私は必要ではない。 好きな人に「他人のことほんとうにどうでもいいんだね」と叱られたことがあ…

2017.03.17

5.

恋愛についてはよく分からないが、死にたいも生きたいも一番強く感じたのは、人を抱きしめたときだった。-旅路の途中、知らない街で一人ぼんやりしていると、唐突に自意識から「お前には何も無いのだ」と現実を突きつけられた。 自分が何も持っていないこと…

4.

北へ北へと逃げたくなるのは、私が南に住んでいるからだろうか。 暖かな空気は甘やかしながらまとわりついてくるから不快で、肌を擦るような冷気は厳しいからあこがれていた。 今日からあまり宛のない旅に出る。会いたい人には会う。それからのことは考えて…

3.

ほんとうは、もっと上手に泳げるんだよ。 目を合わせると、底の浅さを見透かされるようで恐ろしかった。 人と向き合いながら発する言葉に真実なんてひとつもなくて、みっともなく様子を伺いながら、ばれないようにできるだけ美しい言葉を選んだ。 心をこめて…

2.

「君と最悪の人生を消したい」 どこまで行っても自分のことしか考えられない。 忘れられないのは誰かのことではなく、誰かといたときの私のこと。 本も読めない、音楽も聴けない。ぼんやりと作業のように日々をこなす。 仕事をしてお金をもらってご飯を食べ…

1.

すっかり歳をとってしまった私のことを書く。 すべてを覚えていることは難しいから、忘れてしまってもいいように、言葉で残す。 わからないまま続いていくことを許容できない。 頭の中の世界のためだけに、現実を続けていけるか。 毎日嘘をついている。明日…